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子供の身長自慢で松山ケンイチが一人勝ち
『うさぎドロップ』特別試写会舞台挨拶


累計発行部数98万部を超える宇仁田ゆみの人気コミックを映画化した『うさぎドロップ』の特別試写会が、東京・渋谷シネクイントで開催され、松山ケンイチ、香里奈、芦田愛菜、佐藤瑠生亮とSABU監督が登壇した。

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祥伝社から発刊されている「FEEL YOUNG」に連載中の、宇仁田ゆみによる大人気コミック「うさぎドロップ」。本作は、亡くなったおじいちゃんの隠し子を引き取った青年と、しっかり者の少女との、ちょっとちぐはぐな共同生活を描いたハートウォーミングな物語。

映画化にあたっては、27歳・彼女なしの独身“イクメン”河地大吉(ダイキチ)に松山ケンイチ、6歳の少女りんに芦田愛菜。りんと同じ保育園に息子を通わせるシングルマザーゆかりに香里奈、その息子を佐藤瑠生亮が演じている。

「小さい子供と一緒に生活する経験がなかったので、環境的にはダイキチと変わらなかった」と話す松山。他の作品では集中するため共演者とあまり話すことはないようだが、今回の“天才子役”芦田との共演では、「僕自身が愛菜ちゃんと一緒にいてすごく楽しくて、毎日現場に行くのが楽しみだったし、癒されたし、打ち上げの時もずっと一緒にいた。瑠生亮とも会う度に遊んでいて、楽しい現場でした」。そこで芦田が「松山さんは優しくて、休憩の時も遊んでくれて、とても楽しかったです」と満面の笑顔で話すと、「ずっと遊んでたよね。足をつかんで逆さにしてブラブラしたり、かくれんぼしたり」と、楽しげな現場の様子を語った。

シングルマザーを演じた香里奈は、「幼稚園の送り迎えをして、仕事をして…大変だと感じました」と振り返り、「シングルマザーが住みやすい環境になったら良いなと思いました」。そして、ひとり息子を演じた佐藤瑠生亮から、「香里奈さんはとても優しくしくて、可愛くて、大好きです」と言われ、笑顔を見せた。

SABU監督は、そんな2組の“親子”について、「みなさん本当にいい俳優なので、自慢です。松山さんは存在感がデカくて感動しました。香里奈さんは、踊るシーンでカッコよく踊ってくれて助かりました。愛菜ちゃんは去年はもっと小くて可愛かったし、瑠生亮も子供らしい子供なのに、演技になるとスッと切ない顔になるんです」と、それぞれをベタ褒め。これに対し佐藤が、「去年の夏から身長12センチ伸びたよ」と話すと芦田が、「撮影した時は同じくらいだったよね。でも今は、109センチくらいだよ、私」。すると松山も、「俺、179センチ。70センチ違うからね。大きいでしょ?」と、子供の身長自慢に割って入り会場を笑わせていた。

最後に、本作の見どころを、「ダイキチやゆかり世代や、その親の世代の方に、それぞれの視点で観て欲しいです。温かい気持ちになれるので、たくさんの方に観て欲しいです」(香里奈)。「世界中のいろんなところに愛情があって、その愛情が繋がっていく、幸せでポジティブになれる物語です」(松山)。そして監督は、「人は支えあって生きていると思える作品に仕上がりました。俳優さんたちが素晴らしい演技で魅せてくれているので楽しんでください」とそれぞれメッセージを送った。
2011年6月15日


松山ケンイチ、芦田愛菜らかわいすぎる子役たちにデレデレ!
本当の家族のよう!「毎日現場に行くのが楽しみだった」


2011年6月13日(月) 17:21 シネマトゥデイ

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こんな娘がほしい!? まるで本当の家族のような松ケンと芦田愛菜

 今年4月に女優・小雪と結婚した松山ケンイチが、私生活に先駆けて天才子役・芦田愛菜を育てる「イクメン」にふんする映画『うさぎドロップ』の舞台あいさつ付き試写会が13日に渋谷シネクイントで行われ、芦田と同じく子役の佐藤瑠生亮、香里奈、SABU監督と共に登壇した松山は、終始デレデレの表情を浮かべて子役たちと過ごした日々を振り返った。

 この日、松山や香里奈以上に歓声を集めたのは、映画やテレビやCMで大活躍中の芦田。「かわいい~!」「小さい~!」との観客の歓声を受けながらマイクを取り、「松山さんは優しかった。撮影中の休み時間に遊んでくれてすごく楽しかったです」と愛くるしい笑顔で撮影時を振り返ると、登壇者たちも観客もそのかわいらしさにたちまちノックアウトされていた。コミュニケーションは芝居で取るという考えのため、撮影の休憩中にはあまり共演者としゃべらないという松山も「愛菜ちゃんとはずっと一緒にいた。僕自身が愛菜ちゃんといてすっごく楽しかったし、毎日現場に行くのが楽しみだった。愛菜ちゃんに癒やされていました」とデレデレの表情。また同じく子役の佐藤ともよく遊んだらしく、松山が「片足をつかんでひっくり返してよくブラブラしていましたね」と男の子らしい遊びをしたことを振り返ると、佐藤が思い出し笑いをするなど、楽しい撮影現場であったことがうかがえた。

 また香里奈の息子を演じた佐藤は、香里奈から誕生日に時計をもらったそうで、「香里奈さんもらった時計大事にしています」と笑顔で明かす。松山も文房具をあげたそうだが、宮城県出身の佐藤は「津波で流されちゃった」と東北大震災の津波で流されてしまったことを告白。それを聞いた松山が「もう1回あげる」と優しく語りかけ、佐藤を元気づけるなど、まるで本当の家族のような絆(きずな)を垣間見せていた。

 6月19日の父の日を控え、父の日トークに花を咲かせる登壇者たち。理想とする父親は自分の父親だという松山は、「プレゼントをすることはあまりないが、感謝はしているし、話をできるときはいろいろ話している。とにかく明るい父親で、僕もそうありたいと思っている。得られるものは今でもたくさんあるので、たくさんコミュニケーションを取っています」と父親への思いを語る。続いて父の日に何をプレゼントするのか聞かれた芦田は「お父さんを驚かせたいので秘密です」と無邪気に語り、ここでも会場中をほっこりと癒やしていた。

 映画『うさぎドロップ』は宇仁田ゆみ原作の人気コミックを、『蟹工船』のSABU監督が映画化したヒューマン・ドラマ。ひょんなことから一緒に暮らすことになった6歳の少女と男の珍妙な共同生活を描き出す。(肥沼和之)

映画『うさぎドロップ』は8月20日より渋谷シネクイント、新宿ピカデリーほか全国公開




あなたも私も松ケンも“人類はみなワタナベ”
――松山ケンイチ『ノルウェイの森』を語る


6月22日にブルーレイ/DVDが発売される映画『ノルウェイの森』。主人公ワタナベを演じた松山ケンイチさんに映画を振り返ってもらった。ワタナベを演じることを経て「自分も大人になっていった」という。
[櫻井輪子,Business Media 誠]

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 今なお読まれ続けている村上春樹の大ベストセラー『ノルウェイの森』の映画化は、監督にとっても、役者にとってもリスキーな仕事であったに違いない。初版出版時に学生だった世代はもちろん、誠読者の世代にも、ハルキストで自分の中に“ワタナベ像”を持っている人は多いだろうから。


松山ケンイチさん 「僕の演じたワタナベは、26歳という年齢で感じとったものでしかないので……もっと深いと思うんですよね、原作の中にある愛についての考え方だったり価値観といったりするものは。だから村上春樹さんには、『ノルウェイの森』としてどうか? ではなくて、単に映画としてどうだったか感想を聞きたい」――ワタナベを演じた松山ケンイチさんはインタビューの冒頭にそう語った。

「今なら自分ははっきりと大人だと言えるんですけど、撮影時はそうかと言われたらそういうわけでもなくて、流されてしまう自分という部分もあって。それがワタナベと近いなと感じていました。ワタナベが大人になっていくように、撮影を通して自分も大人になっていったような感じはしています」

 自分に似ているところもあるけれど難しいワタナベをどう演じ、自分のものにしていったのか。松山さんはトラン・アン・ユン監督と、よく分からないことがあったらとにかくやってみる、やってみて一緒に正解を見つけていくということを繰り返した。

 ときに監督は、ワタナベの心情を風景や音楽にも語らせた。その監督の手法は「ワタナベは顔に出していないのに音楽や風景が痛々しくて、それが逆にワタナベを描いている。そういう描写がすごい。風景も色も人間以上に感情を表現してる。今までに見たことない撮影方法だな」と、松山さんを感嘆させた。



 高校時代の親友を自殺で亡くしたワタナベは、自分から積極的にコミュニケーションするタイプではない。彼のたたずまいはいつも、どこか途方にくれていて、ナオコやミドリとの関係の中で常に正解を探している。特に、目の表情が印象的だ。

「目の動き、しぐさ、細かいところまで監督は演出していました。やってみて、すぐ皆でモニターで見て、この目の動きがワタナベじゃないとか、この目の動きは邪魔だとか、でもその後の表情は良かったとか。細かいところからも、人の品性のようなものは感じられるだろうし、繊細さとか危うさとかふわふわした感じとかも。そういうところまで監督の演出が入ってます」


30歳になっても40歳になっても新しい“気付き”がある作品に

 松山さんを通して自らの考えるワタナベ像を追求するトラン監督は、この映画を普通の喋り口調で撮りたいと考えていた。松山さんはそれに対し「原作の口調でやりたい」と主張したという。これは原作に思い入れがある人にとっては重要なポイントだろう。

「原作でも“ワタナベの喋り方には特徴がある”ってミドリが言ってるし、その文章の、言葉の選び方自体がワタナベの特徴でもあるという気がしていたのであまり変えたくなかったんです。そのままの口調で一度やらせてもらいたいと言いました」

 あの村上作品独特の口調を自分のものにするのに苦労はなかったのだろうか。

「それはなかったです。ある意味時代劇だし、口調で時代感というものも表現できる。そういうつもりでやってたんで自分の中では違和感なかった。言葉からでも彼の繊細さが分かります。でも、感情をそのまま言葉にのせてないところがあって。一歩引いてるんです、ワタナベは。冷静とは違うんですけど、醒めてるというか、あんまり距離が近くなりたくない、そういうことも口調から表現できたと思います」

 映画のワタナベを創り上げていく過程で、松山さんは愛について熟考することとなり、その結果、大人になったという。

「それまで、自分にとって愛し方は100%注ぐっていうストレートなものしかなかった。映画を通して、というか原作を通してそのように感じることができたのは大きかった。だけど、また映画を見たり原作を読んだりしたら、新たに気付くものもあるんだろうな、と。無限に、30歳になっても40歳になっても、見るたびに気付かせてくれるような深さを持った作品だと思います。だからこそ、いまだに読み継がれているのでしょう」

 『ノルウェイの森』は深い。誰もがそこに迷い込んで何かを見つけたと思ったらまた途方にくれるような奥の深い作品だ。「この作品をひとことで言うとしたら?」という質問に、松山さんは「キャッチコピーを公募した中に『人類みなワタナベ』っていうのがあって、それをここで使わせていただきたいですね」といって笑った。

 人が大人になっていく過程で誰にでもワタナベの時期はある。松山ケンイチにもトラン・アン・ユンにも。原作を読んだ人全員が自分の中にワタナベを発見するだろう。

 トラン監督が原作からすくいあげ、松山さんがカタチにしたワタナベ像は、原作のワタナベとは少し違うかもしれないが、原作を愛する人間が創りあげたワタナベには違いない。

ブルーレイ版はもっと深く『ノルウェイの森』を感じ取れる

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ノルウェイの森 コンプリート・エディション3枚組(5990円、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント) 原作のイメージを大切にするあまり劇場に足を運べなかったという人にこそ、ブルーレイやDVDを見てほしい。繰り返し見て、自分のワタナベ像との相違や類似について考えることで、より深くノルウェイの森を探求できるだろう。

 ブルーレイ版「コンプリート・エディション3枚組」には劇場公開版より16分長いエクステンデッド版も収録されている。

「劇場版とは全然違う感じがします。間とか、そういうのがこの映画では重要な要素ですし。登場人物の関係性がもうちょっと描かれているので、分かりやすくなっています。もっと深く人物を見たりセリフを感じとったりできるのがいい」

 松山さんをはじめとする役者のたたずまい、音楽、風景、色、そして間、そのすべてが語る『ノルウェイの森』は大変に美しい映画である。