20141101羽生インタビュー1-300


とうとう羽生名人との対談実現ですね

そう言えば先日のレカペでもメリル・ストリープとプチ対談(?)してましたね

凄いぞ、ケンイチ




松山ケンイチ 羽生善治の結婚写真見て「これだ!」と役作り
2016/11/ 1 週刊朝日


20141101羽生インタビュー1-600
俳優松山ケンイチ(まつやま・けんいち、右)/1985年、青森県生まれ。2002年にドラマ「ごくせん」で俳優デビュー。映画「デスノート」のL役など多方面で活躍。16年出演作に映画「の・ようなもの のようなもの」「珍遊記」「怒り」がある
棋士羽生善治(はぶ・よしはる、左)/1970年、埼玉県生まれ。85年に中学生棋士となり、96年に史上初のタイトル七冠を達成。2014年に公式戦通算1300勝を達成。16年10月現在、王位・王座・棋聖の三冠を保持。タイトル獲得数は97(撮影/写真部・加藤夏子、ヘアメイク/勇見勝彦[THYMON Inc.]、スタイリスト/五十嵐堂寿)



 天才・羽生善治の最大のライバルとされながら、29歳で亡くなった伝説の棋士・村山聖(さとし)。その人生を描いた映画「聖の青春」が公開される。腎臓の難病・ネフローゼと闘いながら将棋に命をかけた青年。その難役に体重を増やして挑んだ松山ケンイチが、羽生善治との対談に挑む!

*  *  *

 羽生善治(以下、羽生) :映画からずいぶんおやせになりましたねえ!

 松山ケンイチ(以下、松山) :苦労しました(笑)。

 羽生 :松山さんは将棋を指されるんですか。

 松山 :はい、ずっとではないですが、小学校のころから。羽生さんの本もけっこう読ませていただいてます。11歳のとき、NINTENDO64のソフトで「羽生将棋」買いましたから。

 羽生 :そんな小さなときから!(笑)それはありがとうございます。

 松山 :でも原作を読むまで、村山聖さんの存在は知らなかったんです。

 羽生 :村山さんは本当に限られた時間のなかで、一回の対局や一回のチャンスにすべてをかけて、全力で打ち込んでいた。それが映画にも丁寧に、深く表現されていたと思います。

 松山 :僕はこの映画に思い入れがありすぎて客観的に見られないんですが、やっぱり羽生さん役の東出(昌大)君は、本当にそっくりだなって(笑)。

 羽生 :東出さんとは撮影の前にお会いして、当時の対局で使っていたメガネを差し上げたんです。

 松山 :いいなあ!

 羽生 :僕は25歳で七つのタイトルを取ったんですけど、その前年も前年も、近いところまで行ってダメだった。それを止めていたのが村山さんなんです。

 松山 :本当にライバルだったんですね。

 羽生 :一番最後に会ったのは彼が亡くなる3カ月前だったんです。広島でイベントがあって、彼がひょこっとやってきたんですね。本当に二言、三言、話をして帰っていった。そういうさりげないところが、すごく彼らしいというか。そのときが最後になるとは、まさか夢にも思っていなかった。

 松山 :村山さんっていろんな意味で、つかみどころがない人だと思うんですよね。ちょっと「動物的」なところがあるからだと思う。

 羽生 :そう、本当に「動物的」「野生児」みたいな感覚があった。指す将棋も基本やセオリーはあまり重視していなくて、人が見つけられないような、ちょっとトリッキーな、意表を突く手を特に終盤戦で見つけられる。だから逆転勝ちもすごく多かったんです。それに高倉健が大好きで、お菓子が大好きで。

 松山 :漫画のコレクションもすごかったですよね。

 羽生 :彼の家に将棋雑誌がインタビューに行って「将棋をしよう」となったんだけど、足の踏み場もないほどのゴミや蔵書に埋もれて駒が見つからない。「どうなってるんだ!」って編集者が怒ったという(笑)。

 松山 :テーブルが将棋盤で、その上でカップラーメン食ってるんですもんね。一緒に飲んだり、食事することもありました?

 羽生 :ええ、対局が終わった後に。でも棋士同士って将棋の話って、基本的にしないんです。

 松山 :え、そうなんですか。

 羽生 :お互いに「ここは聞いちゃいけない」っていう暗黙の了解があるんですね。「次はどんな作戦でくるの」とか「ここはうっかりした」とかもちろん言わない。だから気楽といえば気楽というか。

 松山 :へええ。

 羽生 :対局していて一番怖いのは「相手が何を考えているかわからない」ことなんです。でも棋士同士ってけっこうお互いをよく知っているんですよ。子どものときから一緒に修業していますしね。

 松山 :村山さんともですか。

 羽生 :そう、だからあまり話をしなくても「ああ、こういう考え方をするんだな」と、お互いにわかる。確かに隣で指している彼を見て「大丈夫かな?」と思ったことは一度や二度ではないです。でもそれで同情するなど失礼ですし、それに彼は体調の悪いときに、すごくいい将棋を指したりするんですよ。だから体調の波もすべて含めて、彼が前に進む原動力になっていたのかな、と思います。

 松山 :村山さんのご実家でアルバムを見せていただいたんですが、羽生さんの結婚式のときの写真があって。

 羽生 :ああ、来てくれましたねえ。

 松山 :村山さんが「おめでとうございます」と言っている瞬間なんですが、その写真が、すっごく妖怪っぽかったんですよ。

 羽生 :あはは。ちょっと違うオーラが出てた?

 松山 :それを見たとき「これだ! これを表現すればいいんだ!」って思ったんです。村山さんは羽生さんに対して、尊敬と憧れと、いろんな入り交じった感情を持っていたんだなと。その妖怪っぽさは、僕が東出君演じる羽生さんを「もしよかったら、食事に行きませんか」って誘うシーンに生かしたつもりです(笑)。


週刊朝日 2016年11月4日号より抜粋







松山ケンイチ、天才棋士役で人生最大の危機? 羽生善治との対談で明かす


20141101羽生インタビュー2-600



 腎臓の難病・ネフローゼと闘いながら将棋に命をかけた村山聖(さとし)。その人生を描いた映画「聖の青春」が公開される。天才・羽生善治の最大のライバルとされながら、29歳で亡くなった伝説の棋士だ。村山を演じた松山ケンイチと羽生善治の対談では、役者と棋士の共通点について話した。


20141101羽生インタビュー3-600


*  *  *

 羽生 :松山さんはそうやって村山さんのことをいろいろ調べて、役になりきるわけですよね。

 松山 :はい。

 羽生 :作品が終わった後って、どうなるんですか? 村山さんの“感じ”みたいなものが、残像のように残ってるのか、だんだん通常に戻っていくのか。

 松山 :それはですね、まさに映画のなかで羽生さんが言ってた「(将棋の思考に深く入っていくと)戻ってこれなくなる」って感覚と同じなんです。役者も棋士も、深く深く、潜ってやっていくような感じがあるじゃないですか。

 羽生 :ええ、あります。

 松山 :でもそれで、戻ってこれなくなっちゃうこともあるんですよね。

 羽生 :ああ、やっぱりそうですか。

 松山 :ただ僕には家族がいるので、子どもたちに触れているときがリハビリだと思ってるんです。それで少しずつ、戻ってくるんです。

 羽生 :なるほど。

 松山 :今回はいままでやったなかで、一番戻ってこれなかったですね。でもいろんな意味で「戻らないと僕はこれから先、もう村山聖役か、相撲取り役しかできないぞ!」って。

 羽生 :あはは(笑)。

 松山 :そういう危機感を持って、なんとか戻りました。

 羽生 :撮影中は家でも四六時中、村山聖になってる感じなんですか?

 松山 :僕は撮影が終わったら、家に帰って普通の生活をします。でもすべてを完全には忘れちゃいけないんです。そうしないとセリフを言うロジックみたいなものも全部忘れちゃうんで。なので半分忘れて、半分は維持してる感じです。

 羽生 :半分ですか。

 松山 :役を持続させるためにその期間はずっと、その感覚をもたせなければならないんです。短い場面でも生活感やその人の癖みたいなものが自然に出てくるようにしたい。だから今回の作品では実際に太る必要があったんです。「太ったら、何がきつくなるのか」「どういう姿勢になるのか」、そういうことを体でわからないといけなかった。

  羽生 :すごいですね。

 松山 :でも役を作っているときは楽しい時期なんです。終わって戻ってくるときが、一番きついです。

 羽生 :太ったら正座もきつくなりますもんね。数キロ増えるだけでも、てきめんに足がしびれてくる。

 松山 :そうなんです。あれは本当にきつかった! 羽生さんにも将棋の世界から「戻ってくる」感覚ってありますか?

 羽生 :わかります。でも将棋の世界ってひとつの閉じられた世界でもあって、そこで完結してるんですね。

 松山 :はい。

 羽生 :考えることは頭の中だけでもできるので、街を歩いていても電車に乗っていても、お風呂に入っていても、考えようと思えばずっと考えられる。だから日常の生活をしながら、将棋の世界に生き続けることは、可能なんですよ。

 松山 :なるほど。

 羽生 :ただそれをやると日常生活に破綻を来す(笑)。

 松山 :やっぱり。黒澤明さんや深作欣二さんの時代を知る方々に聞くと、みんな言うんですよ。「大成するヤツは、みんな家庭、破綻してる」って(笑)。

 羽生 :でも役者さんも棋士の世界も「続けていく」ことも大事ですよね。

 松山 :そう思います。

 羽生 :もちろん、ひとつの作品で素晴らしいものを残すことも大事ですけど、何十年と続けていいものを残していこうとしたら、やはりどこかで破綻しないように、バランスを取る必要はあると思うんです。

 松山 :家庭を破綻させないように。

 羽生 :うちは家内が将棋のことを何も知らないので、そこは助かってるかなあ。家に帰って「あそこで桂馬を動かしていればよかったんじゃない?」みたいなことを言われたら、それはけっこう腹も立つと思うんですけど(笑)。

 松山 :うちもそうですね。同じ役者(妻は女優の小雪)ですけれど、僕らも家に帰ったら、全然仕事の話はしない。確かにそういうのは助かりますよね。だからそこから離れられて戻ってこれる、というか。

 羽生 :そうですよ。将棋の世界も役者の世界も楽しいですけど、リアルな世界も大事ですからね。当たり前ですけど(笑)。



※週刊朝日 2016年11月4日号より抜粋



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