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いよいよ明日『聖の青春』封切りです。

このところインタビューやテレビも賑わしてくれて…

ファンとしては至福の日々ですね

それだけ聖に燃えているケンイチ君。

明日は楽しみです


インタビュー記事まとめてみました。

取りこぼしも多々ありますが、それでもかなり長くなってしまいました。

興味ある方、覗いてみてくださいm(__)m

松山ファンは…写真だけでも見て行って~








『聖の青春』松山ケンイチ インタビュー「感覚のモノサシが変わり続けること。それが青春」
2016年11月16日(水) T-SITE


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村山聖役の松山ケンイチ


あの羽生善治と互角に渡り合い、好敵手として君臨しながら夭逝した棋士、村山聖。彼の生き方を、周囲の人々との関わり合いを通して浮かび上がらせる映画『聖の青春』。驚くべき増量をして実際の村山の姿に近づき、彼の精神を体現した松山ケンイチは、本作の企画を知り、「演じたい」と自ら手を挙げたという。

「まず、僕は将棋が好きなんです。でも、あまりそういう(棋士を描いた)作品はこれまでなかったので、興味を持ちました。あと、村山さんが自分にとってはすごく魅力的に思えたのが一番の理由です。人として綺麗だったから。小説(大崎善生 著「聖の青春」)を読んでいたときも、村山さんを感じると、自分の汚れみたいなものが洗い流されるような感じがしたんですよね。それがすごいなと。彼はネフローゼという病気で小さい頃から入退院繰り返していて、保育園、小学校、中学、高校の青春……普通の人が一般的に通ってくることをしてない人でした。しかも大人になってからは勝負事の世界で生きていく。だから(そこは)まったく自分とかけ離れているなと感じました。子供の頃の青春とか、大人になってからの青春、全部ひっくるめて、全人生で青春を謳歌した。すべてにおいて純粋で汚れなかった。そういう人に、僕がどれだけ近づいていけるんだろう、表現できるんだろうと。自分の限界みたいなものを突破したいなというのと、全身全霊をかけても足りないような役に挑戦してみたいという気持ちで、アプローチしていったんです」


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(C)2016「聖の青春」製作委員会


「村山さんを感じる」。この一言に、松山の村山に対するリスペクトが感じられる。そしてこの映画は、村山聖という人間を「感じる」作品になっている。彼の人生を追跡するのではなく、このひとの人間性が「感じられる」のだ。

「劇中で、村山さんと羽生さんは『見ている海はみんなと違う』と言っています。村山さんはどんな景色を見ているんだろう? と僕は思ったんですよね。それを感じたかった。でもそれって、人と人との会話の中にはなくて、盤面の奥深くのところにあるのかなって。ただ、対局のシーンの撮影では、盤面上以外のことは何も考えていませんでした。勝負事の人たちって、一回の勝負に人生を賭けるわけですよね。だから、自分の欲求だとか、その後の人生だとか過去だとか、自分のいまの状況だとか、勝負中には何にも考えてないと思うんです。全部を削ぎ落として、全部の神経とか思考を勝負に賭けているわけで。(普通のひとは)みんな、いろんなパワーを分散させて、一日が成り立っているけれど、彼らはそうじゃない。そういうことを体験したかったんです。最後の対局(のシーンの撮影)では、持ち時間1時間ずつ、2時間で実際に(将棋を)やったんですが、そのときは、『ああ、この感覚か』、となんとなく掴めた気はしましたね」


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(C)2016「聖の青春」製作委員会


松山が表現した村山はチャーミングだ。悲劇性がいささかも強調されていなく、そこが素敵だ。余命を知りながら、ひたむきに将棋の世界に邁進した村山。松山のまなざしは、清々しさを残すほど澄み切っている。

「村山さんは『将棋の鬼』みたいな人ではないじゃないですか。もちろん、将棋にかけている時間はものすごいですけど、(持病のための)薬飲むのも忘れて本気で酒を飲むし、本気で麻雀もするし。命を縮めることになりそうなのに、なんでこんなに酒を飲むんだろう? って思ったんですよ。麻雀の誘いがあったら断らなかったらしいですからね、でも、それを観てくれたお客さんが、それぞれ考えてくれたら面白いなあと思うんですよね。長生きすることだけが人生じゃないっていうか。生きるっていうことは、お金よりも友情とか社会のルールとかよりも、もっともっと崇高なもの、大事なものなんだということを、村山さんの生き方を見ると考えさせられるなと思いましたね」


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(C)2016「聖の青春」製作委員会


羽生を演じる東出昌大も素晴らしい。ふたりが実際に言葉を交わすシーンはひとつだけ。それ以外は、すべて対局でしか向き合わない。だが、ふたりだけが知っている「海」が、松山と東出の芝居からは感じられるのである。

「東出君の素晴らしいところは、将棋に対する愛があるってことなんです。将棋、大好きなんですよね。そうでなければ(この役は)できないんです。本当にそこは(自分としても)助かりました。やっぱり(将棋)好きな者同士がやっている。(そうでなかったら)全然違うと思うんです」

本当に、好きな人同士がやっているからこそ、生まれるものがある。

「そうですね。(ふたりとも)好きなんですよね……。撮影中、好きに勝るものはないな、と思っていましたね。好きな気持ちがあれば、どこまでもいけるなって」

村山対羽生。その最後の対局の棋譜を覚えて臨んだ。松山と東出だから、できたことだ。


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(C)2016「聖の青春」製作委員会


ところで、松山はなぜ将棋が好きなのだろう。

「受け口が広いですよね。だって、子供がおじいさんに勝てるんですよ。僕も子供にボコボコにされましたし(笑)。それで、本気で子供に対して悔しがることができる。肩書きとか盤面上では関係ないのが魅力ですね。あと、同じ相手と何回やっても(結果が)100パー(同じ)ということがないですからね。やっぱり、何回か負けて、何回か勝つから面白いんですね」

映画には、こんなセリフがある。「神様がすることは、僕にはわからないことばかりだ」。

「神様って、誰のことだろう? 何のことだろう? と考えたときに、もしかしたら、ネフローゼという病が神様で、生かすも殺すも病がすべて自分のコンディションを作っているのかなと思ったんです。そして、村山さんが(病と)敵対するんじゃなくて、神聖なものとして扱っているような感じがしたんですよね。なので、(どうなるかは)神様が決めることだから大胆に酒も飲んだりしていたんじゃないかなと。すごく苦しいときはもちろんあるし、体調崩すときももちろんある。でも、そんなふうにして、なんとか病気と付き合っていたのかなあって。だから、病気に対して、ネガティヴな気持ちでは表現してないですね」

村山聖が、そして、松山ケンイチがチャーミングな理由がよくわかる言葉である。


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(C)2016「聖の青春」製作委員会


さて、松山にとって、青春とは「いつ」を指すのだろう。

「いまもやってますよ、青春。いまも青春だなあと思います。子供から大人になると――いまは30代だから、まだこの先、長いんですけど――これがカッコいいとか、これが面白いとか、そういう感覚のモノサシってどんどん変わっていくじゃないですか。それが変わっていく限り、青春のような気がするんですよね。そもそも落ち着くつもりもないし。常に、自分にとって新しい感覚を探している。見つけようとする。それが自分にとっての青春だと思います」

そして、彼はつぶやいた。

「原作を読んでハッとされられたのは、村山さんが亡くなった29歳という歳に読んだからだと思います。(自分自身、村山を演じるのは)いましかできない、と思った。何年も前から家の本棚に眠っていたんですが、手に取ったのも『29歳』というワードが目に付いたから。そのときだからこそ読めたんでしょうね。」

村山聖、享年、29歳。松山ケンイチ、現在、31歳。いまを生きる者同士の交歓。それが『聖の青春』という映画だ。


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松山ケンイチ

(取材・文:相田冬二)






松山ケンイチ、東出昌大の“羽生善治”は「ヒロイン」絶妙な距離感かもす『聖の青春』
2016.11.18 Fri シネマカフェ

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松山ケンイチが驚異の体重増量と役作りで、病いと闘いながらわずか29年の生涯を駆け抜けた伝説の棋士を熱演する『聖の青春』。その松山さん演じる村山聖と「東の羽生、西の村山」と並び称され、現在もなお棋界の頂点で活躍する羽生善治を演じるのは、精神面・肉体面の両方からアプローチし、激似ぶりが話題となっている東出昌大。

それぞれ渾身の役作りが話題になっているこの2人。お互いが最大のライバルでありながら、村山さんにとっての羽生さんは「ヒロイン」ともいえる存在であったという。

将棋界の最高峰「名人」を目指し、人生をかけ、短い命を燃やした村山聖九段。彼の最大のライバルにして、憧れの存在でもあったのが、100年に1人と称される天才棋士、羽生善治だ。村山さんにとって、同世代ながらトップ棋士として活躍する羽生さんは凄まじいライバル心を燃やす相手である一方、「羽生さんと同じ空気を吸いたい」と、当時拠点を置いていた大阪から上京するほどの憧れの存在だった。

対する羽生さんにとっても、村山さんは強烈な存在だったよう。先日行われた映画公開記念イベントでは、羽生さん本人が、かつて負けた一戦を回顧しながら「彼の手の動きが印象的で、いまでも覚えている」と語っており、短い期間ながらも、濃い時間を過ごした2人の確かな関係性をうかがい知ることができる。

本作においても、松山さん演じる村山聖と、東出さん演じる羽生善治の関係性は物語の核となる重要な部分。これまで、『ひゃくはち』で万年補欠の野球部員、『宇宙兄弟』で宇宙飛行士を目指す兄弟という“名ライバル”を描いてきた森義隆監督は、撮影にあたり、2人の距離感を大事にするため、松山さん、東出さんに演技以外での会話を禁止するなど、徹底した関係作りを行ったという。そして、棋譜すべてを覚え、約3時間にもおよぶ長回しを行った伝説の対局シーンを、「2人が勇気を持って『やる』と言ってくれた」と嬉々として語りながら、「想像のはるか上をいくものが出来上がった」と自信のほどを語っている。

松山さん、東出さんの2人もまた、撮影中、互いの演技に触発されていた様子だ。先日行われた村山さんの地元・広島での舞台挨拶で、「羽生役が東出くんで本当によかった」と話した松山さん。「羽生さんというオーラを身に纏ってくれたから、村山さんが羽生さんに抱いていた尊敬の念を自然と持つことが出来た」と語り、自ら「本作のヒロイン」と言ってはばからない東出さん演じる“羽生善治”への気持ちが、“村山聖”という役と見事にシンクロしたことを明かしている。

一方、東出さんも、「松山さんの演技に負けないよう、真剣で切り合うつもりで挑んだ」と、松山さんの演技に大いに刺激を受けた様子。盤上で棋力を存分に引き出しあっていた村山さんと羽生さん同様、互いの力を限界まで引き出しあった松山さん、東出さんの両名の熱演は必見だ。

また、本作では対局を離れた2人の会話シーンも見どころとなる。“激戦”の後、2人っきりの食堂で、将棋に対する想いや、対局における“潜る”という感覚、そして対局の先にあるまだ見ぬ世界への憧れを語り合う2人の姿にもグッとくるものがあるはず。

最大のライバルであり、“将棋”という道を究める同志でもあった村山さんと羽生さん。松山さんと東出さんが渾身の役作りで演じた、この2人のアツい関係にぜひ注目していて。

『聖の青春』は11月19日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。

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《text:cinemacafe.net》






松山ケンイチ&東出昌大『聖の青春』が役者人生に与えた多大なる影響
MovieWalker 2016年11月18日

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松山ケンイチ&東出昌大の熱のこもった対談スタート!


松山ケンイチが、棋士・村山聖の実話を描く映画『聖の青春』(11月19日公開)で肉体、精神面ともに壮絶な役作りに挑んだ。松山は「行くところまで行くぞ」という強い覚悟で臨んだが、演じきった今、「まだ先に進めない自分がいる。それほどに燃え尽きた」と胸の内を明かす。村山役を手にし、演じきるまでにどんな軌跡があったのか。羽生善治を演じた東出昌大とともに、本作が役者人生に与えた影響について語り合ってもらった。

羽生を追い詰めた伝説の棋士・村山。本作は、村山が病と闘いながら全力で駆け抜けた、29年の生涯を描く人間ドラマだ。松山は、「30代に入る時に、全身全霊をかけて役を作ってみたい。自分のすべてをかけて、限界を超えたところで見える景色を体験してみたいと思っていました」と前のめりの姿勢を明かす。

「大河ドラマ『平清盛』はそういうことができた作品だった」と言い、「もう一度あそこまで、そしてもっと先に行ってみたいと思っていて。そういう役を探していた」。そんな時に出会ったのが、大崎善生によるノンフィクション小説「聖の青春」だった。「『これだ!』と。ものすごく心を揺さぶられたし、村山さんはたくさんの人に何かを与えられる人だと思った。すると、もう映画化の話がだいぶ前から動いている話を聞いて。自分からアプローチしました」。ひたむきに生きた村山に惚れ込み、すべてをかける意気込みで村山役に名乗り出たと言う。

一方の東出も、村山の生涯のライバルであり、実在する偉大な存在、羽生役を演じるプレッシャーと闘った。森義隆監督からは「松山さんと話をしなくていい」との指示があったそう。

「松山さんは僕より先にクランクインをされていたので、『そこに最強の異物として来い』と言われました。松山さん自身、おそらく体調が悪くなるほどの増量をされての役作りだったと思うんです。もちろん村山さんと同じく、松山さんは絶対に弱音を吐かないし、現場はそんな松山さんを中心とした輪が出来上がっていました」と述懐。最強のライバルとして、真剣勝負の場に挑むべく、「僕はあの頃の羽生さんと同じように、殺し合いをするつもりで現場に行きました」と並々ならぬ覚悟で乗り込んだ。

誰もが村山という人物、そして将棋という世界に没頭していくような撮影現場だったそう。それほどまでにのめり込めた理由を、松山は「好きだから。好きに勝るものはない」と話す。「村山さんは何に対しても一生懸命。感情がストレートに向かっている感じが、すごく好きです。大人になっていくと、いろいろなことを学んで、汚れみたいなものがついて、それが個性になるわけで。でも村山さんは、汚れないで生きていた人。村山さんの生き方を見ると、自分を作ったりするのがバカバカしくもなります。やっぱり、憧れているんですね」。

東出も「すごく愛おしくもあり、儚くもある」と村山への愛情を語る。しかし、演じる上で大事にしたのは、羽生としての厳しさ。「棋界の誰もが村山さんの体が悪いことはご存知でした。でも、村山さんの憧れた羽生さんは、絶対的に手を緩めない強さと、誰よりも努力をしている鬼の面とがある方。その2人がピュアにぶつかり合っている姿に、人々は胸を突き動かされると思ったんです」。

松山は「素晴らしい役に出会えたことに幸せを感じている」としみじみ。「まだ先に進めない自分がいるんです。今は映画の主役はできないと思うくらい、燃え尽きてしまったところもあって。でもどこかで村山聖という役を自分から切り落としていかなければいけない。それは、公開してから徐々にですかね」と役者人生において、かけがえのない作品となった様子。

同時に「自分自身、いろいろなものをもらいました。限りある生。人の目を気にしたり、情報を入れたりとか、そういうことではなくて、自分の気持ちを大事して生きたいと思った」と人生観にも影響をもたらした。「この仕事の素晴らしいところは、自分自身に変化をもたらしてくれること。僕はそれを全部ポジティブに捉えて栄養にしている自信があるし、せっかくならそうしなきゃいけないと思っている。今回は、村山さんから素晴らしいものをたくさんいただきました」。

東出は「プレッシャーもあり、喪失感、焦燥感も感じた。それは初めての経験」と振り返り、演じきった今「今後も役者として続けていく光明が見えた」と言う。「役者って、宝物を得られるような瞬間もある仕事なんだと認識できたような気がしています」。


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松山ケンイチ&東出昌大、尊敬し合う男たち。リラックスした笑顔を見せる!
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村山聖と羽生善治を演じた
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人生観にも影響を与えた様子だ
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壮絶な役作りに挑んだ松山ケンイチ
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「全身全霊をかけてみたい」と並々ならぬ意欲を明かした

【取材・文/成田おり枝】






松山ケンイチ×東出昌大、目の前に「村山聖」「羽生善治」がいた - 映画『聖の青春』
[2016/11/18] マイナビニュース


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村山聖が憧れた羽生善治と向き合う感覚


29歳の若さでなくなった天才棋士・村山聖。少年時代から、難病と戦いながら将棋にすべてを賭けてきた彼の人生を描いたノンフィクション小説『聖の青春』が、発表から16年を経て映画化されることとなった。2008年に映画化の企画が生まれてからさらに、公開まで8年の月日をかけ、監督の中でも熟成された作品に挑むのは、松山ケンイチと東出昌大だ。

"怪童"村山聖を松山、将棋界でも100年に1度の天才と呼ばれ現在も活躍する棋士・羽生善治を東出が演じた。先に行われた東京国際映画祭では、東出から「ヒロイン・羽生善治役」とジョークも飛んだが、ライバルであった2人の対局シーンには映画というフィクションを超えた迫力、そして将棋盤をはさんで育まれた絆が宿っていた。


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(左)■松山ケンイチ
1985年3月5日生まれ、青森県出身。『男のたちの大和 YAMATO』(05)で一躍注目を集め、続く『デスノート』『デスノートthe LAST name』(06)で大ブレイク。以降、映画、TVで幅広く活躍。映画代表作は『デトロイト・メタル・シティ』(08)、『カムイ外伝』(09)、『ノルウェイの森』(10)、『うさぎドロップ』(11)、『天の茶助』(15)ほか多数。2016年は『の・ようなもの のようなもの』『珍遊記-太郎とゆかいな仲間たち』『怒り』が公開。
(右)■東出昌大
1988年2月1日生まれ、埼玉県出身。12年『桐島、部活やめるってよ』で俳優デビュー、第36回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。14年『クローズEXPLODE』で映画初主演を果たし、第27回日刊スポーツ映画大賞石原裕次郎新人賞他受賞。主な映画出演作は、『寄生獣』『アオハライド』(14)、『寄生獣 完結編』『GONIN サーガ』(15)、『ヒーローマニア-生活』『クリーピー 偽りの隣人』(16)。『デスノート Light up the NEW world』が現在公開中。 撮影:大塚素久(SYASYA)


戦っているのが見えた

――おふたりは初共演とのことですが、お互いの印象はいかがでしたか?


 松山 東出くんが出ている作品も観ていましたし、(早乙女)太一くんと共演した時に東出くんの話を聞いたりしていたので、「どんな人なのかな」と楽しみにしていました。

かといって、色々とプライベートな話をするような状況でもなかったような気がします。現場に入ったらもう東出くんじゃなかったですね。自分の中ですごく戦っているのが見えました。最初は本当に対局シーンだったんだよね、大阪で。

 東出 はい、そうでしたね。


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 松山 一発で、「羽生さんだな」と思いました。村山さんが、尊敬や憧れを感じていただろう"羽生さん"が目の前に現れたんですよね。東出さんがすごくリサーチをかけて役を作ってきたのも見えましたし、何より羽生さんと将棋に対する愛情をすごく感じて、それがひとつのオーラになっていました。

だから、羽生さんを演じる東出くんを素直に尊敬できたし、憧れることができて、「これからすごく面白いことになるな」と思いえました。自分自身も、もっともっと村山さんに向き合って演じていけば、それこそ作中で対峙した時のように、深い海に2人で潜っていけるな、という実感がありました。


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 東出 :僕は、クランクインする前から、プロデューサーさんや監督さんから「松山さんがすごく過酷な増量をしている」とか、「将棋連盟に通っている」とか、色々とお話を聞いていたんです。クランクインして2週間ほど経ってから現場に入ったんですが、それまでに「村山聖の組として現場を作っておくから、お前はそこにライバルとして入ってこい」と監督から言われていて。

実際に現場に入ったらもう、ライバルとしての村山聖がいました。松山さんの気迫あふれる村山聖を前にして、やっぱり僕も嬉しかったです。元々松山さんの作品も見ていますし、尊敬する先輩としての印象は大きかったんですけど、現場に入ってからは村山さんとして向き合う感覚でした。鬼気迫るものがありましたね。



 向かい合うシーンは、ある種の殺し合い

この人大丈夫か」という感覚

――対局シーンにしても、食堂でお酒を飲むシーンにしても、お二人が向かい合ってるシーンが多くて印象的だったのですが、どういう気持ちで対峙していたのでしょうか。


 松山 ずっと、東出くんが前にいるというよりも、羽生さんが前にいるという感じだったんですよね。東出くんがそこまで役を昇華させて自分のものにしているから、すんなり入ることができて、こちらとしてはありがたかったです。そこに支えられている部分もありました。


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 東出 僕は松山さんから、鬼気迫るものを感じていました。先日、行われた羽生さんと(原作の)大崎善生さんのトークショーで、羽生さんは生前の村山さんに対して「この人大丈夫か」と思っていたと話されていたんです。それは村山さんの病のこともあるし、将棋の指し手に鬼気迫るものがあったからだそうで。まさしく、僕が松山さんに抱いていた気持ちそのまんまだなと思いました。

羽生さんが病のことを気にされていたように、僕も増量による松山さんの体の負担のことも考えましたし。松山さんが村山聖として、対局中に肩をいからせて入ってくる姿は、威圧感がありながら繊細さもはらんでいて、ある種の”殺し合い”という感じはありました。


――作中の対決だけでなく、演技の上でも対決、みたいな感覚は少しあったんでしょうか?

 東出 :「現場であまり松山さんと話さないように」というお話は、監督からありました。もちろん、みんなで軽く待ち時間に「この掛け軸、いいね」みたいな話などはしたんですが。僕等に限らず、みなさんが役を引っ張って、ずっとギアを上げている状態だったと思います。全員で同じ方向を向いていたのがこの現場のすごさですし、俳優部だけでなく、全体的にずっと緊張感のある現場だったと思います。


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 松山 :スタッフの方々の、環境づくりみたいなところは凄まじかったですよね。

 東出 本当に。

 松山 やっぱりみんな、将棋が好きなんじゃないかなと思いました。中にはもちろん、将棋を知らない人もいたと思うんですけど、愛がありましたよね。


森監督にききたいこと

――棋士の役作りということで、将棋連盟にも通われていたという話ですが、どのような雰囲気を意識されましたか?


 松山 撮影に入る前の準備段階で、実際に対局室にお邪魔した時に、普段自分が吸っている空気とは明らかに次元の違う空気感があったんです。それをどう演技で表現していくかはすごく大事なことだと思っていましたし、ある意味一番時間かかかっている部分かもしれません。やっぱり、棋士役の人たちはみんな、プロ棋士としての佇まいを身につけるのに苦労したんじゃないでしょうか。きっと裏では各々が一つのコマを持って、ずっと将棋をさしていたんだと思うんです。


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――ぜひ今回メガホンをとった森監督に言いたいこと、聞きたいことがあれば教えていただきたいです。

 松山 :監督は8年間企画を進めようとしていて、僕は途中の段階から入ってきているんです。「ぜひ村山さんを演じたい」とアプローチをして、選んでいただきました。すごく嬉しかったし、選んでいただいたからこそ、限界以上のものを出さなきゃいけない、という覚悟もありました。だから、単純に、なぜ僕を選んでくれたのか聞いてみたいですね。

 東出 :監督は村山聖のことが大好きですし、映画が大好きだと思うんですけど、この映画を撮っていて「楽しかったですか?」と聞きたいですね(笑)。撮影している時に、気迫がすごくて。この映画にかける思いを聞いてこなかったように思うんですよね。楽しかったとしたら、どのシーンを撮っていたときが楽しかったのか教えていただきたいです。


 俳優2人からの質問に、監督の回答は?


2008年に 『ひゃくはち』で映画監督デビューし、2012年には『宇宙兄弟』が大ヒット。テレビ、映画、舞台と幅広く活躍しながら、この『聖の青春』を映画化するために8年もの間動き続けてきた森義隆監督は、俳優2人から預かってきた質問に快く答えてくれた。


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監督の回答

・松山ケンイチさんからの質問:なぜこの映画で僕を選んでくれたんですか?



 森 8年前から君の名前は挙がっていました(笑)。その上、こっちが「撮れるぞ」というタイミングで自ら手を挙げてくれたことに、運命を感じたんです。企画から8年もかかっていると、もう「この作品が動く時って運命しかないな」と思うんですよね。

やっぱり実在した人物の物語を撮る時に、作り物じゃないものにしていこうと思うと、ある大きな流れの中でしか撮れないんじゃないかと思い始めて。30歳の松山くんが、29歳で死んだ男の話に手を挙げてくれたことにも、必然を感じました。


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・東出昌大さんからの質問:この映画を撮っていて楽しかったですか?

 森 めちゃめちゃ楽しかったし、鬼気迫ってないですよ!(笑) 僕が20年やっている中で、一番楽しかったし、一番笑顔が多かった現場です。もちろん集中はしていましたが、撮影できるまでに8年もかかってるし、気負わないことは逆にテーマにしていました。

しびれたのは最終対局ですね。2人の対局シーンを3時間長回しなんて、試したこともなかったし、俳優を信じるしかなかった。クライマックスシーンだから失敗できなかったし、僕の経験値でも2人の経験値でも、やれるかやれないかわからなかったけど、2人とも「やりたい」と言ってくれたので、一緒に飛び込めました。想像を超えた感覚があって、楽しかったです。

佐々木なつみ






【インタビュー】松山ケンイチ、この役を演じるために俳優に…『聖の青春』は「10年に1本」の渾身作 
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松山ケンイチ、森義隆監督『聖の青春』/photo:Ryo Uchida


「ずっと探していた、ということだと思います。いろんなめぐり合わせで、村山聖という人物を演じられたことに感謝しなければいけないし…、やっぱり10年に1本の作品なんですよ。自分はこの役を演じるために、俳優になったんじゃないかとふと思っちゃって」。

そう思わせるほどの役柄、作品との出合いが俳優にとって、どれほど幸福なことであるかは、想像に難くない。松山ケンイチが、29歳で急逝した天才棋士・村山聖を演じた『聖の青春』。幼い頃に難病のネフローゼを患いながら、将棋の才能を開花させた村山聖が、プロとして当時「東の羽生、西の村山」と並び称された最大のライバル・羽生善治と文字通りの死闘を繰り広げた青春の1ページを描く。大幅に増量した、命がけの役作りも話題だ。

■村山聖を演じるためなら、命を燃やせる

「体型の変化やそういう表面的なことが話題になるのは仕方ないと思いますけど、役者にしてみるとマストというか、最低限やらなきゃいけないことなので…。村山さんの体型には、持病が関係していたし、それを自分が肉体で表現することで初めて、村山さんの体の使い方、生活のリズム、クセや考え方に近づくことができたと思うので。歩き方も変わるし、『こんな場所が凝るんだな』とか(笑)。そういう意外な発見は、どんどん役作りに活かしましたね」。

「村山さんが命、そして生きることに向き合う姿に、ものすごく感銘を受けたんです。男としてカッコいいなと思うし、20代で演じた平清盛もそうですが、何かに夢中になって生きているほうが面白いと思うんですよ。僕はまだ31年しか生きていないですが、常にそうありたいと思いますし、それを改めて実感させてくれたのが村山さんの存在。だからこそ、村山聖を演じるためなら、命を燃やせると思ったし、そうでなければ表現できないんです」。

■村山聖の“鏡”として浮上した羽生善治

メガホンをとるのは、『ひゃくはち』『宇宙兄弟』を手がけた森義隆監督。当初は「村山の内面に徹底的にフォーカスした」というが、大崎善生氏による原作小説をベースに、羽生善治本人を含めた関係者への取材を重ねる過程で、「村山と戦った人々、支えた人たちの心情にも目が届くようになった。結果的には、周囲を振り回しながら、それでも強烈な魅力を放つ村山を軸にした群像劇になった」のだとか。それでも“村山の不在”だけは解消されず…。

「当然ながら、村山さん本人にだけは取材ができない。でも、きっと彼がお墓まで持って行った、誰も知りえない思いや言葉があるはずじゃないですか。そこを僕らが想像し創作して、村山さんの抱いていたかもしれない気持ちを羽生さんに対し吐露させた…、つまり村山聖の“鏡”として羽生善治が浮上したんです。村山の魂がどんな形をしているのかを突き詰める上で、羽生さんの存在がどうしても必要だった。ライバル同士の切磋琢磨だけじゃなく、孤高の天才二人にしか分からない魂の対話にグッとフォーカスしたんです」。

■松山ケンイチvs東出昌大 約3時間の長回しの“極限”舞台裏とは?

最大の見どころは、やはり村山と羽生が繰り広げる対局シーンだ。松山さん、そして羽生を演じる東出昌大が、将棋指しにとっての“生きざま”そのものである棋譜を覚え込み、盤上で再現した。「本物の瞬間を撮りたかった」という森監督の意向に、2人の人気俳優も「ぜひ、やりたい」と応じ、約3時間に及ぶ長回し撮影が敢行された。現場に漂う“極限”の緊張感を想像するだけで、鳥肌が立つが、果たしてどんな舞台裏だったのだろうか?

「単に棋譜を覚えるだけじゃなく、それを忘れながら、次の一手を必死に迷えるか。そのあたりは、事前に俳優と話し合うのもヤボだし、とにかく2人がやりたいと言ってくれたから。実際、カメラが回る3時間の間にも役作りがどんどん進む感覚で『ああ、村山が降りてきたな』と。役柄と役者の魂が渾然一体となって、もはや誰も寄せ付けない2人だけの“空間と時間”が生み出された」(森監督)

「頼りになるのは、僕ら2人の体と駒だけ。ふり返ると、カメラ(の存在)も忘れてるし、役柄と自分自身の一体化というか、役柄すら捨てて、自分との対峙、そして東出くんとの対峙になっていたと思いますね。村山さんと羽生さんがそうであったように、僕らも“潜って”対話をしながら、いかに相手に火をつけていくか…。そんな3時間でした。その間、東出くんの顔は一切見ていないし、指し手のキャッチボールだけを続けました」(松山さん)

最後に、松山さんに「もし、村山聖に会えるとしたら、どんな言葉をかけたいですか?」と質問すると、こんなシンプルで力強い言葉が返ってきた。「愛していたし、大好きでした」。
《photo / text:Ryo Uchida》






松山ケンイチが最新作でみつけた「人生の意味」
ザテレビジョン 2016年11月18日

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映画『聖の青春』で主人公・村山聖を演じる松山ケンイチ


伝説の棋士・村山 聖(さとし)の29年の生涯を描く映画『聖の青春』が11月19日に公開される。本作は、天才・羽生善治と「東の羽生、西の村山」と並び称されながら、29歳にして亡くなった実在の棋士・村山聖の、病と闘いながら将棋に全人生を懸けた感動のノンフィクション作品。今回、主人公・村山聖を演じる松山ケンイチにインタビューを行い、役作りにあたっての強い思いを聞いた。

――元々原作を読まれていて、自分から役に名乗り出たという松山さん。原作の感想はいかがでしたか。

元々将棋が好きで読んだのですが、本と出合ったのが29歳の頃で、村山さんも29歳で亡くなったというところが気になっていましたね。こんなに激しく生きた人がいるのかと思いました。病を相棒のようにしていて、何事にも左右されず自分の人生を生きていて。僕自身、好きなように気ままに生きられたらいいなって常に思っているので、そういう生き方の人がいたのが嬉しかったし、その感動を欠けることなくお客さんに伝えたいって思いました。

――体重の増減も村山さんを演じる上で必要だったのですか?

これができなければスタート地点に立っていないですね。将棋に対してのプロのたたずまいというものもマストだったし、村山さんを演じる上でやらなくてはいけないことってものすごくたくさんあって、簡単にできるものではなかった。すごく時間がかかりましたし、そういうふうに時間をかけてもやりたい役でした。それを許してくれた周りの方にはとてもご迷惑をかけていますけど、感謝したいですね。

――今回の準備期間はどれくらいだったのですか?

体重をここまで戻すことも考えると1年半以上はかかっていますね。

――羽生善治役の東出昌大さんの印象はいかがでしたか?

今回はヒロインがいなくて、いるとしたら羽生さんなんですけど、対峙する役だったので、あんまり現場ではお話しなかったです。東出さんは誠意があるし、皆さんおっしゃいますけど、真面目な方ですよね。今回は東出さん自身、将棋が好きっていうことと、羽生さんのことを好きっていうことが全部重なって、強い愛から生まれるモチベーションが、共演していてもオーラのように感じられました。それが抜群によかったです。それがなかったら村山聖として尊敬や憧れを抱くことはできなかったと思うし、僕も素直に尊敬できる、憧れることができる羽生善治だったんですよね。だからそういうところにすごく助けられましたし、東出さんでよかった!と思いました。

――実際に羽生さんとお会いしたことは?

撮影が終わって、今回のプロモーションの取材で初めてお会いしました。

――羽生さんとはどんなお話をされたんですか。

「潜る」ということは話した気がします。劇中にもあるのですが、あまりに潜りすぎて戻ってくるのが恐い。戻ってこられるかどうか不安になるっていうか。

――「潜る」というのは例えば?

役者としてだったら役に没頭して、自分に戻ってこられるのかということですよね。僕は家族がいるから、家に帰ったら、「あ、これ自分だよな」って認識させてくれるものがあるのでそういう怖さはなくなってきたんですけど、昔はほんとにそればっかりだったなって思って。役に没頭しすぎてどこまでも行っちゃうから、そういう怖さはすごくありました。以前の僕は自分を痛めつけていましたね。酒をがぶ飲みして吐いたり、ケンカしたり。自分自身の言葉を吐きたかったのかな。自分の言葉を表現するっていうのはすごく苦手なんですけど、でも自分の言葉を発して何かしないと自分というものを取り戻せないようなところでやっていて、そこにすごく限界を感じていました。

――この映画でご自身の人生観は変わりましたか?

前から、自分の人生って誰のためにあるのかを考えていたんですけど、なんとなくこの作品で答えが出たような気がしますね。僕は村山さんの生き方を見て、自分の人生は誰のためのものでもないし、自分のための人生だからこそ、大事にしながら生きたいなって思ったんです。だから誰かのために犠牲になって働く、生きるっていうことが自分のことより優先順位が上になっちゃうとちょっと違うのかなって思います。それが学べたので、落ち着けたというか、不安にならなくなりましたね。

――村山さんは将棋を自分の人生をかけて全うされていると思いますが、松山さんが人生をかけてこれだけは絶対成し遂げたいことはありますか。

家族に対して「向き合う」ということを最後まで続けたいって思いますね。子供だったら離れていくまでだとか。自分にとってすごく大事なものに対して、目を離したくないなっていうか。正しいことを教えるというよりも、一緒にいるということが大事なのかなと思うので、そこは成し遂げたいというか、できる限りやりたいなと思いますね。

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松山ケンイチ、肉体改造し「人生を捨てる覚悟で臨んだ」 名棋士役へ込めた思い
クランクイン! 2016年11月17日


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映画『聖の青春』で、天才・羽生善治と双璧を成した伝説の棋士・村山聖に扮した松山ケンイチ。肉体と精神の両面をとことん追い込んだ鬼気迫る演技は、まるで村山の“魂”が乗り移ったかのような圧倒的リアリズムを生み出している。撮影終了後、「自分にとって10年に1本の作品になるだろう」と評した松山が、本作に込めた並々ならぬ思いを噛み締めるように語った。


 本作は、「東の羽生、西の村山」と並び称されながら、29歳でこの世を去った希代の名棋士・村山聖の生涯を綴った大崎善生のノンフィクションを、『宇宙兄弟』などの森義隆監督が映画化した人間ドラマ。5歳で腎臓の難病ネフローゼを、27歳で膀胱がんを患った村山が、病気と闘いながら将棋の道を突き進んだ壮絶な人生を描く。東出昌大が演じるライバル・羽生との息を呑む死闘は圧巻だ。

 子供の頃から将棋を嗜み、原作にも深い感銘を受けていた松山は、映画化の話が立ち上がると、自ら村山聖役を志願したという。「村山さんは生きることに純粋な人だったと思うんです。ある意味、動物的というか、社会のルールがどうだとか、人がどう思うとか、そういうものに全く影響を受けることもなく、自分自身の“生”をまっとうした人」と述懐。「病気に対しても、まるで夫婦のようにうまく付き合いながら、命を燃やして生きる姿にいろいろ考えさせられた」としみじみ語る。

 だが、いくら感銘を受けたとはいえ、同時代を生きた実在の人物は、演じる上でやりにくさはないのだろうか。「架空の人物は情報が少ないので、イメージしたり、いろいろなところから材料を引っ張ってきたりしなければならないのですが、実在した人は映像も写真も残っていますし、一緒の時間を過ごして来た人たちの話も聞ける。そういった部分では手掛かりがたくさんある。ただ、“村山聖”という人物により近づくために自分で作り上げなければならない部分もあるので、そこは確かに大変な作業ではありますね」と吐露。

 例えば、肉体改造もその1つ。村山聖は、細身の松山とは真逆の体型だったが、驚異的な体重増量によってその距離を縮めていくと、外見だけでなく、心の面でも面白い変化が見られたと目を輝かせる。「太ってくると、歩くスピードも変わるし、体の使い方も変わる。すると、喋り方も変わるし、ひいては考えることも変わってくる。それは、自分が実際に村山さんと同じ体型に近づくことで、どうしても得たかったものだったので、この変化を実感できたことは本当に有意義だった」と振り返る。

 肉体改造はもとより、プロ棋士としての振る舞いや将棋との向き合い方、駒をいじるちょっとした仕草など、日々訓練の積み重ねによって習得しなければならないものが多かったため、役づくりに膨大な時間を要したという松山。「これまで経験したことがないほど没頭しないと、辿り着けない役柄だったので、自分の人生を捨てるくらいの覚悟で臨んだ」と言葉にも力が入る。

またある意味、ライバル・羽生とのラブストーリーでもあるという松山は、「同じ志、同じ熱を持った2人の棋士が、恋い焦がれ、そして愛し合っている…盤面という深い海を潜っている様をぜひ観てほしい」とも。体型はすっかり元に戻っていたが、その瞳の奥にはまだ、村山聖の魂が宿っているように見えた。(取材・文・写真:坂田正樹)

 映画『聖の青春』は11月19日より全国公開。

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松山ケンイチが神演技で魅せる! 映画『聖の青春』が描く、29歳で逝った天才棋士の将棋愛【最新シネマ批評】
2016年11月18日 Pouch

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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今週ピックアップするのは、松山ケンイチ主演作『聖の青春』(2016年11月19日公開)です。将棋に詳しくない方でも羽生善治氏はご存じでしょう。その羽生氏のライバルだったのが村山聖(さとし)。29歳でこの世を去った彼は、幼い頃から難病を患っていました。病気と闘いながら将棋に人生を懸けた村山聖の亡くなるまでの4年間を描いたのが本作です。

【物語】

幼いときから「ネフローゼ」と言う腎臓の病を患っていた村山聖(松山ケンイチ)は入院中、父が何気なく勧めた将棋に夢中になり、将棋の最高峰、名人を目指します。

広島で生まれ育った彼は、頭角を現すと将棋界で「西の怪童」と呼ばれるようになりますが、同年代の天才棋士・羽生善治(東出昌大)との対局で敗れてしまいます。聖は羽生を超えようと上京。師匠の森信雄(リリー・フランキー)の世話になり、病と闘いながら将棋道を突き進んでいくのです。

【松山ケンイチのデ・ニーロアプローチ】

だいぶ前ですが、バラエティ番組で見た松山ケンイチの体格がかなりよくなっていたので、ビックリしたことがありました。もしや役作り?と思っていたけど、『聖の青春』のためだったのですね。『DEATH NOTE デスノート』の超個性派探偵のL、『ウルトラミラクルラブストーリー』の子供みたいな青年など、下手な役者が演じたら目も当てられなくなるであろう変わったキャラクターでも、圧倒的な存在感で説得力を持たせてしまう稀有な役者、松山ケンイチ。専門誌「将棋世界」の編集長だった大崎善生が執筆した同名著作を読んでいた松山氏は、映画化の噂を耳にして自ら「聖を演じたい」と立候補したそうです。

ゆえに監督に言われなくても、聖と同じ体格になることで彼の体感を得て、聖を自分の中に甦らせたのでしょう。もちろん私生活での村山聖の姿は想像の範囲ですが、聖への理解、聖になる執念、聖としての人生がスクリーンから立ち上がってきます。

私は村山聖のことを、対局やドキュメンタリーの動画でしか知りませんが、それでも映画を見たら不思議と近しい人に感じ、志半ばで逝ってしまった無念には胸が熱くなりました。こんなに将棋に情熱を注いでいたのに……。

【短くも熱く強く生きる】

自分が長く生きられないことを知っていた聖は、生き急いでいる感がありました。「早く名人にならなくては」という思いが強かったのかも。羽生善治との最後の対局では、無理を押して挑戦したので、看護士が隣室に待機していたくらいです。すごい執念ですよ!

棋士の村山聖に迫る一方、映画は私生活の村山の一面も多く描かれます。何より師匠の森、棋士仲間たちとの交流にはホッとさせられます。みなさん温かいんですよねえ。対局以外ではこんな風に過ごしているのかと、将棋の世界を知らない自分には新鮮で興味深かったです。

村山聖は漫画が大好きで、部屋の壁がすべてコミックス! という、物にあふれた部屋に住んでいました。ちょっと変わった人だったかもしれないけど、そうやって好きな世界で身を守っていたのかも。また彼はけっこう酒も飲むんですよね。「病気なのに大丈夫なのか」と心配したりして、映画を見ているうちに友だち気分。それだけ人間・村山聖がスクリーンで生きていたということです。

【村山聖の感想が聞きたい】

村山聖の最大のライバルである羽生善治を演じているのは、東出昌大。羽生氏が七冠を獲ったときにかけていたメガネを本人から借りて羽生役に臨んでいます。東出氏は将棋が大好きで羽生ファンだけあって、これまた熱演。

私は羽生氏が将棋を指すときの癖などわからないのですが、手を口に持っていくしぐさとか、対局あとの語りの口調とか、東出さんはかなり研究して臨んだ感がありました。顔は似てないんですが、雰囲気を最大限に近づけています。

自分の人生が映画になって全国公開されると知ったら、村山聖は草葉の陰でどう思うのでしょうか。「マジかよ!」と言いつつも「松山ケンイチ、かなり寄せて来てるな」とか感心したりして。正直、将棋がわからない人に向けてのルール説明は特にないし、将棋ファンが納得する「村山将棋の面白さ」が、この映画にあるのかどうかはわからない。

けれども、これはひとりの人間が将棋に人生を懸けて燃焼した物語。短い人生に村山聖は納得していないだろうけど、これだけ夢中になれる世界を手に入れた彼がうらやましくもあり、また「自分もちゃんと生きなくては!」と、そう思わせてくれる映画です。

執筆=斎藤 香 (C) Pouch

『聖の青春』
(2016年11月19日より、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー)
監督:森義隆
出演:松山ケンイチ、東出昌大、染谷将太、安田顕、柄本時生、鶴見辰吾、北見敏之、筒井道隆、竹下景子、リリー・フランキーほか
(C)2016「聖の青春」製作委員会





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今年もありがとうございました。

「映画『デスノート』の最終ページ」19~20話

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